抄録
チタンイオン種が結合したカチオン交換繊維と水酸化ナトリウム溶液(NaOH)との反応を繰り返すことによって,含水酸化チタン(TiO2・xH2O)を繊維に析出させた.含水酸化チタンの析出量は繰り返し析出回数の増加とともに増えた.メタノールと水の混合溶媒に溶かしたNaOHを使って,繊維に担持された含水酸化チタンを処理してチタン酸ナトリウム(NaxTiyOz)に転化した.10回の繰り返し析出の後,チタン酸ナトリウムのカチオン交換繊維に対する重量比で算出される担持率は110 %であった.10回繰り返し析出して得た繊維のストロンチウム吸着量は0.86 mg-Sr/gまでに増加し,この値は市販のストロンチウム吸着材のそれとほぼ同等であった.Mgに対するSrの選択性は繊維への含水酸化チタンの繰り返し析出によって増加した.一方,Caに対するSrの選択性は繰り返し析出回数に依らず一定であった.