平膜モジュールの淡水側流れの特性について,センターシール長さの影響を実験とシミュレーションにより解析した.センターシールが短いと浸透量が少なく,シール長さが長くなるにつれて,浸透量が増加することが分かった.シミュレーションにより,その原因が,淡水側流れにあることが指摘された.流れ領域の抵抗が大きいために,センターシールが短いと淡水領域全体に流れが十分いきわたらず,入口から出口への短絡が発生する.そのため,膜全体が有効に活用されず,有効な膜面積が減少することを明らかにした.さらに,シミュレーション解析において,通常非常に小さいために無視される淡水側への塩の漏れが影響している可能性を示した.塩のわずかな漏れ流れが遅い領域で蓄積されて塩分濃度の上昇を招き,これが浸透現象を抑える可能性を指摘した.また,圧力損失の観点からセンターシールが短い場合は,流れが短絡するため,圧力損失が小さく,長い場合に損失が顕著の増加することがわかった.