日本塩学会誌
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塩化カリウムの結晶構造形態に及ぼす成長添加物の影響
室谷 寛白崎 高保
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1960 年 14 巻 5 号 p. 223-226

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抄録
塩化カリウムを水溶液の冷却法により晶出させるとき,(Na PO3) nとMnCl2とを少量添加しておくと, 八面体状のKClの結晶が得られ易い. その際, 添加物は次ぎの作用をなす.
1. 添加物は結晶内に入り, 全体に分布しているが, 均等ではない.
2. 添加物の溶液中の初濃度が増えると, 結晶中に入り込む量も比例的に大きくなる. 初濃度を (NaP03)n 35m·mol/kg H20, MnCl2 3.5m·mol/kg H20 程度に上げると結晶中のN(aPO3) n とMnCl2との割合, P03/Mn=10mol ratioとなる. それ以上の初濃度では, この比は余り変らぬ.
3. 添加物が結晶中に入り込むと, 格子ひずみが起る. 含量が増すとひずみも大さくなるが, 上の初濃度以上では, ひずみは余り大きくならぬ. この点は単結晶状の大きな八面体状結晶の得られる所である.
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