抄録
多孔性のイオン交換膜を用いた海水の電解透析濃縮において, 取得かん水量が非常に影響することを認めたので取得かん水量を一定とし, 電流密度の生成かん水の濃度におよぼす影響について実験を行ない, 大要つぎの結果を得た.
1) 電流密度を増大すると生成かん水の濃度は高くなる.
2) 電流密度の増大にしたがい, 取得塩分量は増大するが, それに対応するだけの塩分は得られず, 見掛けの電流効率は低下する.
3) 電圧は電流密度に対して大体比例して増加するが電力量は増大する.
4) 以上の結果から, 海水の濃縮を行なう場合にあまり透水性の大きな多孔性のイオン交換膜を使用することは高濃度のかん水を得難いから工業的に有利な方法とは考えられない.