日本塩学会誌
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食塩水の味について
蒲池 崇
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1963 年 17 巻 3 号 p. 150-153

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抄録
食塩水の味について, パネルによる官能検査を行い, 弁別閾, 刺戟閾および男女別による塩から味に対する感覚の差異について実験を行い, 次の結果を得た.
1. 食塩水の弁別閾については, 食塩水の濃度の大きいところでは弁別閾も大きく, 濃度の小さい所では弁別閾も小さい. 下弁別閾は上弁別閾より鋭敏であつた. また, 食塩水濃度と弁別閾は直線的な関係である.
2. 食塩水の刺戟閾は, 蒸留水と対比して味わつた場合と, 単独に味わつた場合とでは, やや異り, 蒸留水と対比した場合は0.05%の食塩水で溶質の存在を感, 知しているが, はつきり塩からいとは感じない. 食塩水を単独に味わつた場合は0.05%では塩から味を感じないで, 刺戟閾は0.113%の所にあると判定された.
3. 塩から味に対する男女の感覚では有意水準99%にとつた場合には有意差はないが, 有意水準を98%にとった場合, 有意と判定されたので, 塩から味に対する感覚は女性の方が, わずかに鋭敏であるらしいといえよう.
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