抄録
電気泳動ならびに拡散の研究にもちいられているシユリーレンーダイヤゴナル法を, イオン交換膜電気透析における境膜の研究に応用した. 境膜は, 中性攪乱や選択透過性, スケール析出などに密接な関連があり, 電気透析法の重要な問題である. 光学装置は, 電気透析系に適合するように, 第1スリットおよび円柱レンズの部分を改良した. 透析セルは, 境膜全体を光が通過して測定を行ない得るようにするため, イオン交換膜面を露出させるように工夫した. この装置による写真には, 濃縮室膜面における境膜の発生が明瞭に現われており, さらに電流逆転の際に, 濃厚な層の膜面側に稀薄な層が発生することを示している.