日本海水学会誌
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イオン交換膜のイオン型と膜抵抗
イオン交換膜の選択透過性に関する研究 (第4報)
半沢 信久鈴木 清山本 秀夫湯山 二男
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1969 年 22 巻 5 号 p. 343-348

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抄録

海水, かん水中に存在するNa+以外の共存イオンが膜抵抗におよぼす影響を2種類のイオン交換膜について調べた.
1.陽イオン膜の場合にはMg2+, Ca2+は膜抵抗を増大させ, K+は低下させる.海水中での膜抵抗は0.5N NaCl中の約2倍となつた. 液濃度が増大するとDonnan吸着イオン量が大となり膜抵抗は低下する.
2.陰イオン膜の場合にはSO2-4は膜抵抗を増大させる傾向があるが, その影響は小さい.
3. 海水, かん水のような多成分系溶液に陽イオン膜を平衡させた場合の膜抵抗は, 全膜面積に対する面積比が膜中における各イオンの吸着率に等しい膜面積をもつ各イオン型膜の並列抵抗に近似する.
4. 陽イオン膜の海水, かん水中におけるCa2+, Mg2+吸着率はNa+よりかなり大であつた.
5.Donnan吸着イオン量は溶液濃度が1N以上になると膜の収縮などの影響で理論値とくらべて小さい値を示す.

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