抄録
海水濃縮における炭酸物質の挙動を明らかにする目的で, 海水の自然蒸発および沸点蒸発実験を実施するとともに, 流下式塩田, 製塩蒸発缶および造水装置の各種試料を分析してつぎの結果を得た.
1) 海水の自然蒸発実験における全炭酸量は, かん水の比重1.06から1.18の範囲がもつとも大きく, CO2として80~85mg/lであった.
2) 濃縮過程の炭酸物質の析出率は, 自然蒸発実験の場合, 27~91%, 沸点蒸発実験の場合49~99%であつた.
3) かん水の飽和指数から検討した場合, 酸添加法は抑制物質添加法, 種晶添加法に比較して, アルカリスケールの防止にもつとも効果的であった.
4) フラツシユ造水装置の付着スケールについて, 化学分析, X線分析, 示差熱および熱重量発析を行ない組成を明らかにした.