日本海水学会誌
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ウィンクラー法による海水中の微量溶存酸素定量
微量溶存酸素溶液の調製と共存イオンの影響
杉野 邦雄小畑 健三郎後藤 藤太郎
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1975 年 29 巻 2 号 p. 64-73

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抄録
蒸留法による海水淡水化プロセスでは, プラントの金属材料の腐食を防ぐため, ブライン中の溶存酸素濃度を10μg/l程度にしている. この微量溶存酸素をウィンクラー法で定量する場合, 試料溶液中の酸化還元物質による定量への影響が指摘されている. そこで鉄 (III), 鉄 (II), 銅 (II), 硝酸および亜硝酸の各イオンによる定量への影響について, まず純水を用いて実験し, そして妨害イオンには対策を講じた. 次に海水を用いた実験にこの対策を適用して良好な結果を得た. 鉄 (III) イオンにはリン酸溶液の使用, 鉄 (II) イオンには塩酸o-フェナントロリン溶液の添加および亜硝酸イオンにはアジ化ナトリウムの添加により, 定量への影響を除いた. 銅 (II) イオンと硝酸イオンによる影響はほとんどなかった.
なお実験に必要な微量溶存酸素溶液は試作した装置で簡便に調製した.
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