日本海水学会誌
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チタン活性炭系複合吸着剤の造粒条件とウラン吸着性
複合吸着剤を用いる海水からウランの採取に関する研究 (第11報)
宮井 良孝北村 孝雄加藤 俊作宮崎 秀甫
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1979 年 33 巻 2 号 p. 102-108

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抄録
粉末状で得られるチタン-活性炭系複合吸着剤の造粒試験と造粒体によるウラン吸着試験を行ない, 次のような結果が得られた.
1) 粉末状吸着剤に対して, バインダーとして重合度2,000以上のPVAを10%以上添加して造粒すると, 市販粒状活性炭の強度に相当する造粒体が得られることがわかった.
2) ウラン吸着性に及ぼすPVA添加量の影響は, チタン単位重量あたりの平衡吸着量には影響しないが, 吸着速度には影響が認められた. また添加PVAの重合度がウラン吸着性に及ぼす影響は小さかった.
3) 添加PVAの不溶化法としては, 造粒体の強度およびウラン吸着性の面から, ホルマール化が適当であることを認めた.
4) 球形に造粒した吸着剤によるウラン吸着速度は, 2~5mm径の造粒体について, 球体の表面積にかなり密接に依存することが明らかになった.
5) 吸着-脱着の反復試験を5回行なった結果, PVAの不溶化処理を行なった吸着剤は, 未処理試料にくらべてその重量減少率が著しく改善できた. ウラン吸着性は反復回数の増加につれて徐々に低下する傾向が認められた. その低下の原因は, 複合吸着剤中のチタン含有率の低下と, 海水からの無機成分の増加によることを明らかにした.
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