抄録
水中における微量濃度のリンの蛍光X線分析法(XFA)を確立するために,検水100mlに鉄(III)塩を0.5mgFe添加し,pHを6~7に調整し,リンを水酸化鉄(III)フロックと共に沈殿させ,沈殿フロツクを濾別後XFAにかけた.その結果,オルトリン酸塩ではリン濃度(Cp)とXF強度(I)との間には次式の関係が見いだされ,
I=I0+Iu(Cp)n
I0:リン濃度0におけるXF強度,Iu:単位
リン濃度におけるXF強度,n:指数
かつリン濃度として10μg/l~1.8mg/lの範囲で精度よく定量できることが判明した.また,ピロリン酸塩およびトリポリリン酸塩は,同法によってリン濃度とじてそれぞれ10μg/l~0.6mg/lおよび10μg/l~1.0mg/lまでの範囲でオルトリン酸塩と同等に分析できた.そこで本法を海水,製塩過程のかん水およびにがり中のリンの定量に応用し,それぞれ精度よく分析できることを明らかにした.