日本海水学会誌
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製塩工場の缶内液組成について
長谷川 正巳西村 ひとみ曽我 清己杉田 静雄
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1985 年 39 巻 2 号 p. 94-99

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抄録
1983年11月, 膜種の異なる3工場の海水から生産塩にいたる一連の工程試料を採取し, 最近の製塩工場のせんこう状態を主として化学的な面から調査した.
本調査で明らかになった点は次のとおりである.
1) 各工場のかん水組成は新膜, 新電槽導入後では大きな差はなく, 一般にカリウム濃度が増加し, カルシウム, マグネシウム濃度が減少している.
2) こうした純塩率の高い新膜かん水をせんごうする場合こ, 塩化ナトリウム析出率を高くするためには缶内温度を高くし濃縮倍数を大きくする必要があり, 母液中の塩化カリウム濃度が高いため, 塩化カリウムの析出がおこりやすい傾向にある.
3) 塩化ナトリウム析出率を高くし, 塩化カリウムの析出を抑えるためにはかん水中, あるいは缶内液中へ不足した塩化カルシウムおよび塩化マグネシウムを添加することが一つの方法となる.
4) 蒸発缶へのスケールの析出, 付着については, 従来から用いられている併用法に加え, かん水中のスケール成分の減少によって問題はなくなってきているように思われるが, 完全逆給方式をとる1工場が若干スケール問題を発生しやすい条件にあるといえる.
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