1988 年 42 巻 2 号 p. 59-62
PMBPを抽出試薬として高純度塩化ナトリウム中に含まれる微量カルシウムとマグネシウムを溶媒抽出-原子吸光分析により定量した.最初に, 抽出におけるpH, PMBP濃度, 振り混ぜ時間など, 基礎的諸条件について検討した.さらに, 塩化ナトリウム試料にカルシウムおよびマグネシウムを添加して回収率を求めたところ, いずれも96%以上という良好な結果が得られた.実際試料として, 数種の高純度塩化ナトリウムを選び, 分析した.その結果, カルシウムは0.8~2.4ppm, マグネシウムは0.07~1.2ppmであった.本法は, 簡単に目的元素が抽出分離でき, MIBK相を直接原子吸光分析するので, 分析感度が良好である.さらに, 主成分の塩化ナトリウムの影響が避けられるなどの特徴をもっており高純度塩化ナトリウム中の微量カルシウムとマグネシウムを定量するのに好適であった.