日本海水学会誌
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炭酸ストロンチウム共沈法を用いる海水中のカルシウムの原子吸光分析
環境分析に関する研究 (第39報)
井上 直樹杉本 太前田 嘉道安積 敬嗣
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1989 年 42 巻 5 号 p. 228-232

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抄録

カルシウムイオンを原子吸光分析で定量する際の前処理に炭酸ストロンチウム共沈法を用いることを試み, 次の結果を得た.
(1) 検水に20%の炭酸カリウム溶液10mlと2gSr/lの塩化ストロンチウム溶液15mlを添加し, 30分間攪拌熟成すると, カルシウムイオンは定量的に共沈する.
(2) 生成した共沈物は硝酸 (1+12) 2mlを用いて室温で5分間放置するとカルシウムは完全に溶解する
(3) 0~1,000μg/lの範囲で検量線は良好な直線性を示した.
(4) 検水を1,000ml用いたときの検出限界は1.5μg/l, 定量下限は5.1μg/lであった.
(5) 本法は共存イオンの影響を受けにくく, 海水, 河川水, 雨水等の環境水中のカルシウムイオンが検量線法で精度よく定量でき, 食塩中のカルシウムイオンの分析にも利用できる.

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