日本海水学会誌
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環境水中での塩素によるクロム酸化について
環境分析に関する研究 (第44報)
杉本 太前田 嘉道安積 敬嗣
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1989 年 43 巻 1 号 p. 28-31

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抄録
海水および水道水中での塩素によるクロムの酸化について検討した結果について要約すると,
1) 海水に添加したクロム(III)は, 添加後徐々に低下する傾向が認められたが, クロム(VI)への変化は認められなかった.これは, 沈殿や吸着等によってクロム(III)が不溶化するためと思われる.
2) 海水に添加したクロム(VI)溶液は, 添加後20日を経過してもクロム(VI)の濃度に変化は認められず, また, クロム(III)への変化も認められなかった.
3) 水道水に添加したクロム(III)は, 残留塩素によって急速に酸化されてクロム(VI)に変化する.
4) 次亜塩素酸ナトリウム溶液を添加した海水中でも水道水の場合と同様に, クロム(III)は時間の経過とともに減少し, クロム(VI)が生成する.
5) クロム(III)のクロム(VI)への酸化は, 有効塩素濃度の上昇とともに促進される.
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