海生生物付着防止のポイントは, バイオフィルムの形成抑制である事に着目して, 海水電解生成次亜塩素酸塩の注入後の形態を明らかにし, それらの殺菌力からバイオフィルム形成の抑制を検討した. その結果, 現状の極低濃度の海水電解処理では, 殺菌力は弱いながらも付着細菌の分裂を抑制して, 細菌の増殖に伴う急速な生物汚損を防いでいると推定した.
海水電解処理により生成するトリハロメタンは, 放水口において水道水の規制値の1/50以下であり, 放水口より排出後短時間のうちに減少して, 取水海水と同じレベルであると推定した. また, 塩素代替処理剤として研究されているオゾンや過酸化水素は, 放水口における残留酸化力の強さから, 安全性への配慮がまだ不十分である.
現時点で, 極低濃度の海水電解処理が最も安全な化学的方法であり, 今後の適用や運用上の留意点を提言としてまとめた.