今後, 有機錫化合物の使用規制は, さらに厳しくなる可能性がある. 非錫系防汚塗料の性能が有機錫系に匹敵するものと認識させれれば, 規制の速度は速まると考えられ, 国際海事機構 (IMO) の動きに注目すべきである.
国内においては, 日本造船工業会の自主規制により平成4年4月1日以降は世界に先駆け錫フリー時代入り, 防汚剤である亜酸化銅を有効に利用する技術がポイントになっている.
有機錫ポリマー型防汚塗料は, 加水分解による塗膜更新性と錫の優れた防汚性により主流となった. 非錫系の溶出型防汚塗料を設計する場合も, 塗膜更新性と防汚剤コントロールが必須であり, この点を考慮した高機能性に関する研究がさらに遂行されると考える.
非溶出型であるシリコーン系防汚塗料及び導電塗膜は, 有害な材料が含まれておらず, 今後有力な防汚方法としてクローズアップされ, さらに研究が進むと考える.
また天然に存在する動植物の成分に対し, 海中生物が忌避反応を示すことがわかり, こうした生物活性反応の研究が各方面で進められている.
海洋は生物の源であり, 防汚塗料を取り扱うものとして, 安全性の高い, 環境に優しい防汚技術の確立に努めたい.