日本海水学会誌
Online ISSN : 2185-9213
Print ISSN : 0369-4550
ISSN-L : 0369-4550
亜寒帯沿岸水における粒状DNAの時間変動
簗田 満田中 仁詞米田 義昭
著者情報
ジャーナル フリー

2000 年 54 巻 5 号 p. 380-389

詳細
抄録
亜寒帯沿岸海域の噴火湾において, 海水中の粒状デオキシリボ核酸 (P-DNA), 粒状有機炭素 (POC) およびクロロフィルa (Chlaのが春季ブルーム前から春季ブルーム後にかけて同時に測定された.この期間, P-DNA濃度の時間変動はChlaおよびPOC濃度の時間変動と必ずしも同じ変動を示さなかった。春季ブルーム期間の30m以浅におけるP-DNA濃度は, 植物プランクトンの生産に伴うChlaあるいはPOC濃度の増加ともに増加する傾向にあった.一方, 春季ブルーム前の30m以浅におけるP-DNA濃度は, ChlaおよびPOC濃度が低かったけれども, 比較的高い値を示していた.また, 春季プルーム後におけるP-DNA濃度は, Chla濃度が急激に減少するのに対して, 春季ブルーム期間のその値に匹敵する高い値を維持していた.POC: DNA比およびClia: DNA比は, 海水中のP-DNAの大部分が春季ブルーム時期の30m以浅においては生きている植物プランクトンDNAで占められており, 春季ブルーム前においては不活性な植物プランクトンと関係し, 春季ブルーム後においてはデトライタス-DNAとして存在していたことを暗示した.
著者関連情報
© 日本海水学会
前の記事 次の記事
feedback
Top