抄録
溶存有機炭素 (DOC) の定量および三次元励起・蛍光スペクトルの測定に用いた海水試料は, 北西太平洋, インド洋 (アンダマン海およびベンガル湾), 日本海およびオホーツク海にて採取した.水深1000m以深でのDOC濃度には顕著な違いが認められた. 1000m以深でのDOC濃度は, 日本海において高濃度であったが, 他の海域ではほぼ同じ濃度範囲であった. 海洋腐植様物質に代表される蛍光性有機物質は, 各海域において表層付近でDOC中の5~15%, 深層水中で20~37%を占めていた、これらの結果により, 溶存有機物 (DOM) の性質の違いや, 各海域において異なったDOMの生成および分解過程が存在する等の海域特性を明らかにした.