抄録
逆浸透海水淡水化法の生産水中のホウ素濃度低減のために逆浸透かん水淡水化システムが用いられる. 本研究では, 逆浸透かん水淡水化におけるホウ素の挙動, および操作因子の純水, 塩, ホウ素透過係数に与える影響について, 8インチモジュールを使用した試験装置により検討した. その結果, 次のような知見が得られた. 1. モジュール性能に対する濃度分極の影響が大きいと考えられる低供給水量, 高フラックスの条件下でも, その影響は明確ではなかった. 2. 透過水pHは複雑な挙動を示した. 3. pH9~10において, 未解離のホウ素の透過係数はほぼ一定であった. 4. ホウ素を効果的に除去しながら95%という高い回収率での運転が可能であった.