日本海水学会誌
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海水溶存資源の有効利用
多段反応晶析塔を用いた炭酸カルシウムの反応晶析
柘植 秀樹田村 和也
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2004 年 58 巻 6 号 p. 570-578

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抄録

日本は資源の乏しい国であるため, 海水中の成分を資源として利用することができれば非常に有用である. 本研究室では, 海水中の溶存イオンと工場からの排ガス中に含まれる地球温暖化の原因とされる二酸化炭素との反応晶析について検討している. 本研究では海水中のカルシウムイオンに注目し, 仕切板によって多段化された多段反応晶析塔を用いた気液反応晶析により炭酸カルシウムを生成させた. 多段反応晶析塔はカスケード型晶析槽の持つ敷地面積の増大, 建設費, 運転費の増大などの問題点を解決できる晶析塔として注目されている. 本研究の目的は多段反応晶析塔を用い, 炭酸カルシウム粒子の粒径を制御すること, さらに多段反応晶析塔の特性を評価することである. 粒径, 反応率に及ぼす多段化の影響と操作因子の影響を3段晶析塔を用いて実験的に検討した結果, 以下の結論が得られた.
1. 多段反応晶析塔から得られた炭酸カルシウム粒子の粒径分布は標準晶析塔から得られた粒子の粒径分布よりシャープになった.
2. 水酸化カルシウム初濃度の増加に伴い, 粒子は微細化し, 凝集しやすくなった.
3. 高過飽和度溶液を用いることにより, 凝集が促進された大粒径の粒子を得ることができる.

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