日本海水学会誌
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スプレーフラッシュ蒸発式海水淡水化に関する実験的研究
噴流方向の影響
池上 康之佐々木 大合田 知二上原 春男
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2005 年 59 巻 1 号 p. 68-73

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抄録

本論文では, スプレーフラッシュ蒸発海水淡水化において, ノズルからの噴流方向が蒸発現象に及ぼす影響を明らかにするために, 上向き噴流式スプレーフラッシュ蒸発海水淡水化装置による実験結果と, 従来の下向き噴流式の実験結果との比較検討を行った. 実験は, 海洋温度差発電や工場廃熱利用で考えられる温排水温度である24, 30および40℃の過熱液を, ステンレス製の円筒ノズルから, 飽和温度以下に減圧した減圧容器に上向きに噴射して行った.
ノズルは, 円筒形で内径は20mm, 長さは813mmであり, 噴流方向の違いが液温度降下に与える影響を明らかにするため液温度などを計測した. 減圧容器に噴射する過熱液の平均流速は, 1.74-3.62m/sの範囲内に設定し, 減圧容器内に噴射された過熱液の温度は, 噴流軸上に設置した測温抵抗体により計測した. そして, 計測した上向き噴流式の実験結果と, 上原らにより報告された下向き噴流式に関する液温度降下データおよび提案されている整理式との比較を行った.
その結果, 上向き噴流式の方が, 同条件における下向き噴流式よりも, 急速に蒸発が完了することが観察された. よって, 上向き噴流式スプレーフラッシュ蒸発海水淡水化法が, 装置の更なる小型化ならびに高効率化を可能にすることが考えられる.

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