抄録
クラゲ中に含まれる高濃度Na (ナトリウム) をNaCl (塩化ナトリウム) として沈殿させて減少するために, クラゲ懸濁液の上澄み液を真空加熱濃縮する方法について, 実用化の観点から検討した, すなわち, より大量のミズクラゲ上澄み液 (500ml) を濾過せずにそのまま, 濃縮率および加熱温度を変えて濃縮し, Naおよび他の共存成分減少率を求めた. その結果, 上澄み液を70hPa, 40℃で約28倍濃縮すると, N (窒素), P (リン), Ca (カルシウム) についても23-62%減少するが, Naを69%減少させることができた. さらに, 得られた濃縮液を肥料としてチンゲンサイを栽培し, 野菜生長に対するNaの減少効果について検討した. その結果, 本法によりNaを減少させることは, 野菜の生長抑制作用軽減に有効であることが推察された.