日本海水学会誌
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クラゲ上澄み液の真空加熱濃縮と野菜の生長に対するナトリウム減少効果
福士 恵一木村 和人辻本 淳一
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2007 年 61 巻 6 号 p. 337-341

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抄録
クラゲ中に含まれる高濃度Na (ナトリウム) をNaCl (塩化ナトリウム) として沈殿させて減少するために, クラゲ懸濁液の上澄み液を真空加熱濃縮する方法について, 実用化の観点から検討した, すなわち, より大量のミズクラゲ上澄み液 (500ml) を濾過せずにそのまま, 濃縮率および加熱温度を変えて濃縮し, Naおよび他の共存成分減少率を求めた. その結果, 上澄み液を70hPa, 40℃で約28倍濃縮すると, N (窒素), P (リン), Ca (カルシウム) についても23-62%減少するが, Naを69%減少させることができた. さらに, 得られた濃縮液を肥料としてチンゲンサイを栽培し, 野菜生長に対するNaの減少効果について検討した. その結果, 本法によりNaを減少させることは, 野菜の生長抑制作用軽減に有効であることが推察された.
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