抄録
熱電発電が抱える二つの課題である、低い変換効率と毒性・希少元素の含有を解決するために、国内外の研究機関と共同して、前者についてはナノテクノロジーを、後者は元素代替を用いて解決を試みている。脚光の当たりやすい材料開発のみならず、泥臭いモジュール開発等にも精力的に取り組み、熱電発電の高効率化、低毒性化、低コスト化に道筋をつけた。さらに、熱電発電の市場開拓に積極的に関与するために、これら研究成果をもとにベンチャー企業を設立した。この論文では、基礎研究から起業までの各ターニングポイントで、著者がとった研究戦略について議論する。