抄録
不凍タンパク質は氷結晶に吸着し、その成長を抑制する機能を有するユニークなタンパク質である。我々は氷結晶の粗大が冷凍食品の品質低下の原因となることから不凍タンパク質を応用することを目指し、大量精製法の開発と用途開発を進めていった。しかし、効果が期待できる冷凍食品が限定されることに加え、製造コストの課題が残った。その後、方針を変更し、社外への市場調査を実施したところ、新たな応用分野への広がりの可能性が見えてきた。利用者の要望に対応した製品の開発を進め、2016年に研究用不凍タンパク質試薬としての販売を開始した。現在、その製造販売を行いながら、各分野の課題解決に向けた取り組みを進めている。