抄録
輸送機器の分野では、省エネルギーと二酸化炭素排出量の低減に直結する技術革新が喫緊の課題となっている。この要求に対して機器の軽量化は直接的な効果をもたらすことから、軽量で高機能の構造材料が求められている。マグネシウム合金は、その有力な候補として長らく期待されてきた材料であるが、容易に発火するという致命的な問題を有していた。難燃性マグネシウム合金は、発火性を抑制して金属材料としての実用性を飛躍的に高めた材料である。これを低環境負荷の基幹材料として育成することは、輸送機器の軽量化のための技術革新に大きく貢献する。本稿では、実用化に関わるさまざまな技術課題の解決を通じて、新素材の産業化のための1つの方法論を述べる。