抄録
東日本大震災の巨大津波によって,宮城県の仙台湾沿岸地域は,かつてない甚大な被害を受け,多くの人命が失われた.仙台湾沿岸には,貞山運河,東名運河,北上運河が,阿武隈川から旧北上川まで約49 kmに亘り日本一の運河群として,今なお存在し続けている. この運河群は,東日本大震災の津波に対して減災効果があったと言われている.そこで,仙台湾沿岸地域における多重防御システムを整備するために,貞山運河及び北上運河の断面形状を反映した平面二次元津波解析により運河群の津波減災効果を評価した結果,これらの運河は津波の威力を減衰させ,津波の戻り流れを集水し効果的に海へ排水させることができ,仙台湾沿岸の運河群には一定の津波減災効果があることが明らかになった.