抄録
大量の生命情報データの情報洪水の中、バイオインフォマティクス技術の役割は高まり、実験上の大きなリスクを軽減し、実験の設計に資する情報を提供する形で貢献することが期待されている。この目的のもと、私たちは細胞膜に存在するGタンパク質共役型受容体(GPCR)を中心に、ゲノム配列から遺伝子を同定してそれらの機能解析を行うための計算パイプラインを構築し、その応用結果を網羅的な機能解析総合データベース(SEVENS)として練り上げてきた。このコア技術が共同研究の呼び水となり、その後循環発展的に展開しながら今日も続いている。この流れは、三つの要素(長期熟成されたコア技術、実験研究者との密な連携、技術インキュベーションを生む環境)を駆動力として進む研究の方向性と、進展の速いライフサイエンス分野の方向性の相互作用として進み続けるダイナミックな形態である。