抄録
現在、木質バイオマスを原料として、セルロース成分等を酵素加水分解して糖に変換した後、発酵してエタノールを製造する技術が注目されている。そのプロセスではセルロースの反応性を高める前処理が必要となる。粉砕処理は効果的な前処理技術の一つであるがコスト高が課題であった。近年我々は、経済的な粉砕前処理方法として湿式メカノケミカル処理技術を開発した。この技術ではセルロース成分をナノサイズの繊維にまでほぐしている。生成したナノ繊維は、セルロースの結晶性が保持され、さらにリグニンが残存していても、高い酵素反応性を示した。我々が開発した前処理技術は、木材やセルロースが持つナノ構造の特徴を活用した方法である。