抄録
人工物の構成型教育では、問題解決や創出のみならず、それらがもたらし得る影響の省察が重要である。この論文では、(I)人工物創出のための共通視点の理解、(II)プロジェクト型演習による実践、(III)相互評価と振り返りによる省察、から構成される人工物システムの教育方法を構築する。構成型工学のカリキュラムに基づき設定された(I)が、(II)と(III)を通じてどのように獲得・向上するかを明らかにするため、東京大学大学院において集中講義を3年間実施した。各視点の理解度合いには差があり、性能評価・計測と使用・保守は演習を通じて早期に、設計・構成と機能・サービスは振り返りを通じて理解が促進されることがわかった。また(I)の観点での批評的思考の副次効果が見られた。