抄録
さまざまな地球観測データが世界各国で個別に取得・加工・利用されている中で、それらの情報の統合的な利用を容易にするための全球地球観測システムが必要とされている。そのため国際的な合意のもとに組織された地球観測に関する政府間会合が全球地球観測システムのための共通基盤を構築した。複数の機関から共通基盤を構成する要素の提供の申し出があったが、政府間会合は構成要素のそれぞれについて公正な評価を行い、最適な構成要素を組み合わせた共通基盤を推奨した。特定の構成要素を選定して共通基盤を推奨することは、全球地球観測システムに関連するいくつかのデジュール標準を策定することに相当した。日本は独自の構成要素の提供を申し出なかった関係で、構成要素を評価するにあたって中立的立場をとり、デジュール標準の策定においてイニシアティブをとることができた。その結果、日本で広く利用されている方法のいくつかをデジュール標準に採用することができた。今回の経験は、一つの事例として、日本にとって今後の国際標準化活動のあり方を示唆している。