2014 年 7 巻 1 号 p. 16-26
先端機器を設置した共用施設を産学官、国内外に公開し、異分野融合や人材流動を促進する場を整備することが、研究開発力を効率的に強化し、オープンイノベーションを推進するための実行力を伴う施策であると広く認識されるに至り、世界各国の公的機関で先端機器共用施設の整備が進められている。この論文では、産総研が運営する先端機器共用施設であるナノプロセシング施設を紹介し、その運営戦略を説明する。そして、ナノプロセシング施設が、ユーザーへの研究開発支援を通じて創出した研究成果や要素技術からなる知識パッケージを形成し、そのパッケージをユーザーに対して公開する“協創場”を構築するとともに、その協創場空間を持続的に拡げるエコイノベーション推進シナリオを述べる。