抄録
安全性と経済性を両立させた水素エネルギー社会の実現に向けて、燃料電池自動車および水素ステーションの普及を進めるためには、高圧水素ガス関連機器に使用される材料の使用基準について国際調和を図ることが重要である。そのため、高圧水素ガス中で使用される金属材料に与える水素の影響を正確に評価できる手法の確立と、その手法を用いた高圧水素ガス関連機器に使用可能な鋼種の見極めが求められている。我々は、120 MPaまでの高圧水素ガス中で引張試験、破壊靭性試験、遅れ破壊試験等が可能な材料試験装置群を開発し、その運用ノウハウを蓄積するとともに、汎用金属材料についての材料試験データを収集している。特に、サンディア国立研究所と協力して、Cr-Mo系低合金鋼の日米の規格材について破壊靭性試験方法の国際比較を実施し、変位増加法で求めた破壊靭性値は高圧水素ガス中での金属材料の評価に有効なことを見いだした。