Synthesiology
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研究論文
大気圧電子顕微鏡ASEMによる水中観察法の開発
ー 半導体の超薄膜技術とバイオ顕微鏡の融合研究 ー
小椋 俊彦西山 英利須賀 三雄佐藤 主税
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2015 年 8 巻 3 号 p. 116-126

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抄録

タンパク質の組織内・細胞内での分布は高度に制御されており、刺激に応じて数秒以内にダイナミックに変化することも多い。このような分子機構が脳等の情報処理を支えており、その解明には多要素の変化を時間経過と共に解析する必要がある。そのため、迅速な試料作製と高分解能観察が可能な高スループット電子顕微鏡(電顕)が求められている。新開発の大気圧走査電顕(ASEM)は、水溶液中の試料をディッシュ底の薄膜を透して倒立走査電顕で観察する。試料は脱水なしに光学顕微鏡(光顕)並の短い手間で作製でき、分解能は薄膜近くで8 nmである。細胞や組織の分子分布、さらには電気化学反応や金属の融解・凝固も観察でき、癌や感染症の診断機器として期待される。

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© 2015 国立研究開発人 産業技術総合研究所
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