抄録
製造技術における中小企業と産総研との連携では、単に技術の移転だけではなく、原因の究明、問題解決の手順が重要である。原因をいかに見出すかは、解決案の策定以上に時間が掛かるが、一度経験することにより、次のステップへの展開では迅速化が図れる。プレス加工による微細穴あけでの共同研究という事例を通して、企業側、産総研側で原因の究明と問題解決がどのように展開したかを紹介する。結果的には、初期に考えた対策である表面処理による工具寿命の長期化ではなく、共同研究を継続することで分かった別の問題点を克服したことが製造現場にとって展開がしやすくコスト効果の高いものであった。このような経験を得ることで、企業とは研究が継続し、その後別テーマのサポインテーマの展開へと進んだ。企業の担当者視点と産総研の研究者視点の両面から製造技術での連携を紹介する。