抄録
日本が実用化の先鞭をつけた車のカーナビゲーションシステムは、今や全世界に広がりたいへん有用なものとなり、日本だけでも約5000億円/年を超える事業規模となっていると思われる。しかし、これを実現するためには、当時にはなかった全国のデジタル地図作成のための仕組みづくりと作成、交通情報を車に流す仕組みや米国によるGPS整備とその利用等環境整備が必要であり、これに多くの労力を割いた。またマップマッチング等位置検出技術、ジャイロセンサー、ディスプレー、メモリー、マイコン等ナビに必要なソフトウエア、ハードウエア開発が必要であった。今ではカーナビゲーションシステムは車載情報通信システムとして発展拡大している。まだ世の中に同システムに必要な要件が整備されていなかったところから始めた開発と事業化について、開発マネージメントの観点から述べる。