システム監査
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【研究論文】 IT ガバナンスの実証研究と組織適用問題
―社会科学からのアプローチ―
佐々木 宏
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2021 年 35 巻 1 号 p. 1-9

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抄録

日本は、東証の市場再編、コーポレートガバナンス・コードの改訂、Society5.0 の実現化に向けたDXの取り組みなど、IT ガバナンスに直接的、間接的に影響するさまざまな変化に直面している。IT はあらゆるビジネスの機能と部門にまたがって活用されており、同時にガバナンスの透明性を確保するためにデジタルデータの活用が不可欠となっている。経営者は、「IT ガバナンスを導入すれば、組織パフォーマンスは向上する」とITG に期待をかけるが、実はそれほど容易ではない。IT ガバナンスはコーポレートガバナンスの一部であり、IT ガバナンスとコーポレートガバナンスをどのように整合させていくかなどについて、いくつか乗り越えるべき万国共通の課題がある。本稿では、DX 推進に伴うIT ガバナンス実践上の課題に対し、欧米中心に蓄積されているIT ガバナンス研究を対象に、経営学、経済学、社会学などの参照理論、実証モデル、分析プロセス、検証結果について包括的にレビューし、これまで得られている知見を整理し、IT ガバナンスフレームワークの導入について検討する。

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