太平洋セメント研究報告
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各種繊維で補強した無孔性コンクリート(PFC)の海岸擁壁補修パネルへの適用
河野 克哉安田 瑛紀小亀 大佑牛渡 裕二川瀬 良司
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2020 年 2019 巻 177 号 p. 23-32

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抄録
 近年,型枠への流し込み成型によって400N/mm2以上の圧縮強度を発現する無孔性コンクリー ト(PFC)が開発され,このコンクリートの引張抵抗性を向上させるために繊維を混入している.そして,海洋環境下における耐腐食性を十分に確保できるように鋼繊維のほか,ステンレス鋼繊維や集束ポリパラフェニレンベンズビスオキサゾール(PBO)繊維を選定し,これらの繊維素材で補強したPFCパネルを北海道にて浸食で激しく損傷した海岸擁壁の補修工事に適用した.
 本研究では,これら異なる繊維で補強したPFCの圧縮強度,曲げ強度,すり減り抵抗性などの物理特性や塩化物イオン浸透性を超高強度鋼繊維補強コンクリート(UFC)の場合と比較する形で検討することを目的とした.
 その結果,鋼繊維で補強したPFCの圧縮強度は330~360N/mm2となり,UFCの場合とくらべても曲げ強度,すり減り抵抗性が高いことがわかった.また,海水に対して耐食性を有するステ ンレス鋼繊維や集束PBO繊維で補強したPFCの場合でも,UFCの場合よりも圧縮強度やすり減り抵抗性を向上できた.また,人工海水に1年間ほど浸漬した繊維補強PFCの塩化物イオン浸透深さは,UFCとほぼ同等となった.
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© 2020 太平洋セメント株式会社
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