抄録
長崎県島原市における地下水水質分析データをもとに,詳細な水質形成機構について検討した.その結果,森林部の地下水は降雨,農地や市街地の地下水は水と岩石の相互作用が,卓越した水質形成機構として働いていた.液相中のCa2+,Mg2+と固相上のNa+,K+との間にイオン交換が起きていることが,CAIとNa+/Cl-の両方の指標から示された.総陽イオン(TZ+)/(Na++K+)および(TZ+)/(Ca2++Mg2+),Ca2+/Mg2+は,アルカリ長石よりカルシウムやマグネシウムに富む角閃石や黒雲母,斜長石,カルサイト,ドロマイトが溶解していることを示した.イオン交換および鉱物の溶解は,Durov diagramからも示された.