抄録
 コンクリート製造時における品質管理項目の一つとして,流動性を評価するスランプ試験が定められている.近年,コンクリート分野では生産性向上が求められており,AIを用いたコンクリートの練混ぜ動画からスランプを予測する技術の研究が行われている.しかしながら,その予測精度やばらつきの定量的な評価は十分でない.そこで本検討では,ミキサ内におけるコンクリート練混ぜ画像を学習させたAIによる予測値の正解率の評価,ならびに統計手法によるばらつきの評価を行った.その結果,AIによるスランプ予測値は,JISで規定される許容差の範囲内で高い正解率が得られ,また,スランプ試験のばらつきよりも小さい結果となった.なお,著者らは,AIがコンクリートのスランプを予測するシステム「PreSLump AIⓇ」をパシフィックシステム株式会社と共同開発し,2023年4月に販売を開始した.