抄録
CaO安定化ZrO2-CおよびMgO安定化ZrO2-Cと溶鋼の反応実験(Ar雰囲気,1560℃×60分)を行った。CaO安定化ZrO2-Cで作製したルツボの場合は,溶鋼がルツボ側面から内部へ2~3mm浸透し,またそのZrO2粒の周囲にZrC層が生成した。MgO安定化ZrO2-Cを用いたルツボの場合は,溶鋼の浸透およびZrCの生成は認められなかった。一方,多孔質ZrO2および多孔質ZrCと溶鋼の濡れ性を調べた。溶鋼のZrO2との濡れ性が悪かったが,ZrCとのそれが良く,そのためZrC基板には溶鋼が浸透した。この結果から,CaO安定化ZrO2-Cルツボに生成したZrCは溶鋼の浸透を引き起こしたことが考えられる。熱力学計算は,1560℃でCO分圧が0.035MPa以下ではZrO2と炭素の反応でZrCが生成すること,MgO安定化ZrO2-Cの場合はMgOと炭素の反応が起こるためZrCが生成し難いことを示した。MgO安定化ZrO2-Cを用いたノズルを実際の連続鋳造条件でテストし,それはCaO安定化ZrO2-Cより高耐食性を示した。