2009 年 44 巻 1 号 p. 33-41
夏季の東京都心におけるOHラジカルの消失過程およびオキシダント生成効率を調査するために,2007年8月下旬に東京都江東区においてレーザーポンプ・プローブ法を用いたOHラジカルの寿命測定および大気微量成分濃度の観測を行った。OHラジカルの反応性の実測値と大気微量成分濃度の測定より得られた計算値との間に差異が見られ,OHラジカルとの未知の反応物質が存在することが確認された。また実測値と計算値との差について,大気微量成分との相関が見られなかった。オキシダント生成効率の指標であるオキシダントポテンシャルを計算し,NOx濃度が低い領域では,OHラジカルと反応する未知の反応物質がオキシダント生成に重要な役割を担うことを示した。また都市域および都市郊外地域におけるオキシダントポテンシャルの比較を行った。