大気環境学会誌
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原著
常時監視データによる国内のSPM濃度の長期および年々変動の解析
大久保 さゆり高橋 日出男
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2010 年 45 巻 2 号 p. 96-106

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抄録
国内の常時監視データを用いて,SPMの季節性や地域性に着目し,1991-2006年度のSPM濃度の長期トレンドと年々変動について整理した.SPM濃度は,冬季,夏季,春季に濃度のピークを持ち,人為起源の粒子による寄与が高い冬季や夏季には,大都市域を中心に濃度の低下が広くみられた.冬季のSPM濃度は,人為発生源の多い都市域で期間を通じて大きく減少しており,対象期間中に実施された様々な発生源対策による効果が表れたものと考えられた.一方で,夏季のSPM濃度は,おおむね減少傾向にあるものの,一次粒子の寄与が大きい冬季に比べると,減少の度合いは小さかった.春季のSPM濃度は明確なトレンドを示さず,冬・夏季に比べると人為起源粒子による寄与が相対的に小さいために,発生源対策の効果が表れにくかったと推定された.
また,SPM濃度には,多くの地域で同位相の年々変動がみられることを明らかにした.高濃度年/低濃度年について気象場のコンポジット解析を行なったところ,冬季の高濃度年/低濃度年には弱い/強い北西の風系が卓越すること,および,夏季の高濃度年には太平洋高気圧の日本付近への張り出しが,低濃度年には冷夏型または南東気流型の気象場が,それぞれ卓越していたことを示した.
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© 2010 社団法人 大気環境学会
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