大気環境学会誌
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木炭・竹炭を用いた土壌中からの放射性セシウムの除去の可能性
小林 真
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2011 年 46 巻 4 号 p. 217-223

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抄録

2011年3月11日の東北関東大地震を切っ掛けとし、福島第一原子力発電所から放出された放射性セシウム-137Csを土壌から除去する効果的な方法を探索するため、木質資源を用いて作成した炭による放射性物質の吸着および除去の可能性について検討した。本論文中では、以下の5つのトピックについて過去の文献を元に議論した:炭の物質吸着のメカニズム、炭の吸着能力のバリエーション、土壌中での137Csの存在形態、そしてそれらを踏まえた上で実際に被災地においてどのように炭を使うか、そしてファイトレメディエーションとの複合的な効果である。過去の研究から、主な放射性汚染物質である137Cs を炭を利用して吸着することができる可能性を見出した。一方で、KCl溶液や有機物を土壌中へ添加することでより効果的に炭を用いた137Csの吸着除去の可能性も考えられる。炭の材料として間伐材や竹材などの未利用の木質資源を利用することで、広範囲にわたる汚染物質の除去へも対応可能となる。一方で、炭を土壌中へ施用する方法のみならず、放射性物質を吸着させた後に土壌中から取り出し吸着した137Csを回収する工程も必要と考えられた。

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© 2011 社団法人 大気環境学会
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