大気環境学会誌
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原著
高活性炭素繊維 (ACF) を用いた大気浄化技術
-II. 自然風を駆動力とするACFを用いたNOX除去システムの開発 -
下原 孝章新谷 俊二三苫 智子吉川 正晃北田 敏廣
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2012 年 47 巻 1 号 p. 58-66

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抄録

ACFの浄化特性を利用して、道路沿道のNOXを主成分とする大気汚染物質を削減するために、本報告 “II” では自然風を利用したシステムを検討した。分離帯にPAN系のスリット構造のACFフェンスを設置し、水洗浄なしに約2年経過したフェンスでもNO2除去能力の低下は認められなかった。一方、NO除去能力は僅かに低下していたが、水道水による簡易水洗を行った結果、NO除去能力の回復が認められた。
ピッチ系ACF はPAN系ACFよりも安定に供給できて安価なため、基礎実験の結果をもとに、PAN系ACFと同等以上のNOX除去能力を持つピッチ系ACFを選択した。ピッチ系ACFに最適な焼成を行った後、ユニットを作成した。フェルト状ACFの厚みを0.7 cm、フェルト間のスリット幅を0.8 cmとして、スリット部分に網状波板を入れることで汚染空気とACFとの接触効率を高めた。その結果、野外の自然風に対して約20~30%の通風性を維持しつつ、NO、NO2除去能力を約16%、97%と大きく向上できた。

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© 2012 社団法人 大気環境学会
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