大気環境学会誌
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原著
道路上でのNO2濃度状況とその走行中車室内および周辺生活環境への影響
山田 裕之林 瑠美子戸野倉 賢一
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2012 年 47 巻 1 号 p. 67-74

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抄録

車道上および走行車室内中のNO2濃度を同時リアルタイム計測可能な計測車により調査した。また、車道脇と車道から7m離れた地点で、定置的にNO2、NOの濃度変化を計測し、車道上の窒素酸化物が生活環境に与える影響を調査した。一般幹線道路においては車道上のNO2濃度は重量車の割合が高い場合に高く、大気環境基準日平均値を越える150 ppb程度であった。また重量車割合が20%以下の低い条件においても50 ppb程度であった。高速道路上では、全域で大気環境基準日平均値を越え、重量車割合の高い上り坂では中央公害対策審議会の短期暴露指針値である200 ppbをも超越する結果であった。また、交通量が多く、延長10 kmにおよぶトンネル内部ではACGIHが定める 作業環境平均濃度(3 ppm)に迫る値であった。車室内においては、空調モードが外気導入の場合、上記のような車道と同等なNO2濃度レベルとなることが確認された。これは、空調モードを内気循環にすることにより改善されるが、その場合は乗員の呼気によるCO2濃度の上昇が懸念される。また、内気循環モードにおいても、NOはNO2に比べ相対的に高い割合で車室内に侵入し、長くとどまるため、このような状況でのNO2生成反応の活性となる可能性を検証する必要がある。車道上のNO2, NOが生活環境への拡散を調査した結果、NOは7 m離れるとほとんど計測されなくなったが、NO2では50%程度の減少率であることが確認された。この結果より、車道上の高NO2濃度状態が周囲の生活環境に影響を及ぼしていることは十分に考えられる。

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© 2012 社団法人 大気環境学会
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