大気環境学会誌
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原著
誘導体化-加熱脱着 GC/MS 法によるPM2.5中の極性及び非極性有機成分の簡易迅速分析
上野 広行横田 久司石井 康一郎秋山 薫内田 悠太齊藤 伸治名古屋 俊士
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2012 年 47 巻 6 号 p. 241-251

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抄録
加熱脱着GC/MS 装置を用いて、PM2.5 中のジカルボン酸、フタル酸、レボグルコサンを誘導体化して分析する迅速かつ簡便な手法を検討した。誘導体化条件を検討した結果、最適な条件として、温度320 ℃、ヘリウム流量20 mL/min、反応時間10 minBSTFA+TMCS99:1)とピリジンの混合比91、誘導体化試薬添加量10μLが得られた。添加回収試験の結果、過大な試料を用いると誘導体化成分のピーク形状が悪くなるため、試料量を制限する必要があった。非極性成分であるn-アルカン、17α(H), 21β(H)-ホパン、PAHs については、感度の点から試料量を多くする必要があり、極性成分との同時分析は困難であったものの、同じシステムで分析可能であった。この手法を東京都内の環境試料に適用して分析した結果、夏季と冬季では有機成分組成が大きく異なること、n-アルカンの濃度パターンは複数の発生源の影響を受けていることなどが示唆され、本手法は有機成分の発生源寄与等の検討に有効と考えられた。
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© 2012 社団法人 大気環境学会
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