大気環境学会誌
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総説
アジアにおける排出インベントリに関する研究
黒川 純一
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2014 年 49 巻 4 号 p. 167-175

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抄録

急速な経済成長に伴う大気汚染物質、地球温暖化関連物質の排出量の増大により、アジアの大気環境の悪化は深刻化している。したがって、効果的な発生源対策の実施が急務であるが、そのためには、まず、アジア諸国の排出構成が詳細に把握されていなければならない。また、大気環境と発生源との関係の把握や、対策効果の検討には大気化学モデルが必要であるが、それにはグリッド化された高精度の排出量データが不可欠である。本総説では、これまでボトムアップ法、インバージョン法の両面から実施してきた、アジアを対象とした排出インベントリ研究の概要を紹介する。ボトムアップ法を用いた研究については、アジア域排出インベントリREAS (Regional Emission inventory in ASia) 2.1 (http://www.nies.go.jp/REAS/) の概要と、その結果に基づき、近年のアジアにおける大気汚染物質、地球温暖化関連物質の排出状況を解説する。インバージョン法を用いた研究については、衛星観測データと排出量逆推計モデルによるボトムアップ型排出インベントリの検証について、中国NOx排出量を事例に概要を解説する。

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© 2014 大気環境学会
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