大気環境学会誌
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研究論文(ノート)
PM2.5自動測定機の維持管理のための空試験データの活用
板野 泰之 山神 真紀子長谷川 就一田子 博長田 健太郎鈴木 義浩秋山 雅行山川 和彦菅田 誠治
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2016 年 51 巻 4 号 p. 190-195

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抄録

全国の21自治体より提供されたPM2.5自動測定機の空試験のデータを解析したところ、空試験の平均値は±5 μg/m3の範囲内であったが、平均値算出のためのデータ数(空試験の実施継続時間数)には15–55時間の幅があった。標準偏差には測定原理の違いに起因すると考えられる機種差が認められたが、そのような機種差では説明がつかない著しく大きい値も散見された。これらの結果を踏まえ、空試験の結果から区間推定した母平均および母標準偏差を評価指標とすることで、確度と精度を評価する方法を考えた。実際に、自動測定機を用いて15時間の空試験を5回実施し、平均値については信頼区間が0 μg/m3を、標準偏差の信頼区間は測定機設置当初に実施した長期空試験から推定された信頼区間を含むことを評価基準とし、95%信頼区間を用いた評価を試行した。その結果、明らかな測定状態の異常に起因する測定値の低下やばらつきの増大を適切に棄却することができた。

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© 2016 大気環境学会
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