大気汚染学会誌
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大気浮遊粉じんの変異原性の経日変動
後藤 純雄加藤 幸彦折井 章子田中 一幸久松 由東松下 秀鶴
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1982 年 17 巻 4 号 p. 295-303

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抄録
大気浮遊粉じんの変異原性モニタリング法の規格化に関する研究の一環として, 1980年1月, 4月, 7月および10月に, 連日, 大気浮遊粉じんを採取し, その変異原性をサルモネラ菌TAI00およびTA98株を用いて調べた。また, 1月と7月の試料については二層一次元型薄層クロマトグラフィー→ 分光けい光法により4種の多環芳香族炭化水素 (PAH) 含量を測定し, 変異原性とPAH含量の関係も調べた
。その結果, 大気浮遊粉じんの変異原性は, TA100およびTA98の両菌株に対して, S-9mix添加の有無にかかわらず認められた。また, 大気1m3当たりの復帰変異コロニー数で表わした変異原比活性は, 同じ月内でも採取日により10~20倍と大きく変動し, その分布は対数正規型に従うこと, 月毎の幾何平均値は冬 (1月), 秋 (10月) に高く, 春 (4月), 夏 (7月) に低いこと, 並びに, S-9mix無添加時の幾何平均値はS-9mix添加時のそれよりも一般に高いことなどを認めた。PAH濃度も, 変異原性の場合と同様, 採取日により大きく変動し, 月毎の幾何平均値は冬期に高く夏期に低いことが認められた。また, 各試験条件 (TA100+S-9mix, TA100-S-9mix, TA98+S-9mix, TA98-S-9mix) における変異原比活性と4種のPAH (benzo (a) pyrene, benzo (ghi) perylene, benzo (k) Huoranthene, perylene) 濃度との間には, すべて良好な正の相関が認められた。
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© 大気環境学会
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